« 水泳レッスン3回目 | トップページ | 大企業大企業って、叩かれてるのが嫌なんですけど。わりと会社を愛しているし。 »

2014年11月 9日 (日)

世界の色

 「好きな人がいると、全部がカラフルに見えるって」
                    『四月は君の嘘』アニメ#01より

 よく聞くセリフだけど、これを実感している人は、どれだけいるのだろうか。

 私にこれ風なことを話してくれた人は、45年生きていた中で、亡夫からのみ。まあ、こんなこっ恥ずかしいことを言っても言われても、普通は口外しないので、そっと自分の胸に納める人が大半なのだろうが。
 「ふらさんと過ごすようになって、僕の世界はモノクロからカラーになった」って本当に言われた。なんて大袈裟なと当時は思ったものだ。

 でも、私は知った。逆バージョンだけど知った。

 夫が亡くなった時、私の世界は色を失った。失ったというか、私は色を拒否した。

 最初は、世界そのものを拒否した。テレビの画像も音も、2、3日は受け付けなかった。普通に過ごしている人間を見たくなかった。妙に覚えているのは海にいるイルカの画像が目に入ったとき、「イルカもダメだ・・・」とテレビを消したことだ。

 その後、さすがにテレビのニュースは大丈夫になったけれど、色はだめだった。
 もともと私はオレンジ色が好きだった。自分の肌に良く映える色で、オレンジの洋服を着ていると人からよく褒められた。なので、おのずとふだん着ている服は暖色系が多かった。でも、夫を亡くして以降、その生命力あふれた元気カラーを身に着ける気力が私にはなかった。色を見ると苦しかった。
 白と黒とグレーのものばかりを見につけ、装飾品は結婚指輪と真珠のピアスのみ。化粧もせずに幽霊のように笑わずにいた。

 時がたち、後輩のなにげない話に反射的に笑ったときがあった。「あ、私、笑った」と思うと同時に罪悪感が走った。
 でも、そのことをTweetしたときに、「回復に罪悪感をもたなくてもいい、笑っている自分を責めないで」ってリプライをくれた人がいて、とても救われた。それから、少しずつ色がもどってきたような気がする。
 せめて、リップグロスくらいはのせようか、と薄化粧を再開し、洋服でいえば、半年たって、茶や紺、ベージュならいいやと思い、春になりごく薄いピンクやブルーなら・・・といった具合に。
 同時進行に、世界を受け入れ始めた。今思うと、辛くても会社に行っていた(むしろ行かせてくださいと産業医の先生に頼んだ)のは、このまま世界を受け入れないと私はだめになってしまうって、直観的に思っていたからだと思う。会社を自分のリバビリに利用した。(*)
 近しい人から順に食事や飲み会の誘いを断らなくなり、心から笑える回数も、増えていった。楽しみを見つけようと、趣味(消費系オタク・・・ほんと、引きこもりには最適な趣味だ)も再開した。
 2年がたって、洋服は紫、緑も大丈夫になった。・・・オレンジは、まだかなあ。でもきっと、時薬は効いているから、いつかは大丈夫。私に今後、恋愛的に好きな人ができるかどうかは不明だけど、人間や世界のことをもっとちゃんと好きになれれば、きっと色はもどってくる。

 世界がカラーになるってことは、自分が見ている世界が「好き」で、しかもそれを存分に堪能して「受け入れられる」ってことなんだと思う。雨だって曇りだって「世界は美しい」って思える人は、幸せなんでしょうね。

 (*)会社を利用した自覚はあるので、できるときは全力で働くってちゃんと思ってますよ。あの時、会社が私にしてくれたことには感謝してます、本当に。健保の皆様、人事の皆様、上司同僚の皆様。みんな、ありがとう。

|

« 水泳レッスン3回目 | トップページ | 大企業大企業って、叩かれてるのが嫌なんですけど。わりと会社を愛しているし。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 世界の色:

« 水泳レッスン3回目 | トップページ | 大企業大企業って、叩かれてるのが嫌なんですけど。わりと会社を愛しているし。 »